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不動産投資のサービスを利用しよう

都心部の商業地の一部では地価が上昇し始めていますし、多くの郊外の住宅地は引き続き大幅な下落を示しています。
つまり、地価はかなりの程度まで、個々の土地の特性を反映した値づけになってきており、投資対象となっている不動産の価格の動きと地価全体の動きがイコールになるとは限らなくなってきています。
従って、 「どこが地価の底値か」といった議論に関しては、いくつかの考え方を知っておく必要はありますが、不動産投資ビジネスという切り口からはあまり深掘りしなくてもよいと思います。
そうした認識に立ったうえで、不動産投資ビジネスを遂行するのに踏まえておくべき事項を整理すると、次の4項目に集約できます。
第1は、日本の土地神話の崩壊です。
バブル前までの日本の土地価格は、土地は必ず値上がりする特別な資産だと信じる土地神話に支えられ、そもそも実力以上に高い水準にありました。
しかし、バブル崩壊とともに土地神話は国民の中から消えつつあります。
10年以上にわたって地価下落が続いている理由の一つは、土地神話によって支えられてきた地価が、適正な水準-是正されてきていることです。
バブル発生前(1983年)より現在の地価が低くなっているのも、何ら不思議なことではありません。
第2は、 90年前後のバブル崩壊の前と後では不動産の価格形成のあり方が変わったということです。
バブル崩壊後10年余りの時が経ち、土地神話が消滅に向かうとともに、不動産の価値は利用価値や収益価値によって決められるという考え方が徐々に普及してきました。
今ではむしろ、これが当然のこととして一般にも受け止められています。
ここでいう利用価値や収益価値とは、例えば土地にビルやアパートを建てて活用したときに、その不動産がどれだけの利益やキャッシュフローを稼ぐことができるかという、 「利益を生み出す力」ともいうべきものです。
新聞・雑誌などでよく「不動産は収益価格で評価すべきだ」という記事が載りますが、まさにこのことを意味しています。
第3は、不動産が利用価値や収益価値で評価されるということは、その時々の不動産の収益性(どれくらいの利益を稼ぐか)によって、不動産そのものの価値が変化するということを意味します。
景気悪化の影響を受けたり、一時的に賃貸オフイビルが供給過剰になることによってビルの収益性が低下することは、当然あり得る話です。
そうした場合、昔であれば「将来的にはポテンシャルのある土地だから」などという理由で、不動産の収益力が即座に価格に反映されることはありませんでした。
ところが現在では、かなりの程度まで収益力が価格に直接的に反映されるようになっています。
ということは、その時々の景気や金利、不動産の需給バランスなどの経済情勢に応じて、不動産の価格は上がりもすれば、下がりもすることになります。
すなわち、不動産の価格は、環境に応じて上下する時代に入ったといえます。
第4は、不動産の証券化などを通じて、投資商品としての不動産が扱われる市場、すなわち不動産投資市場が成長してきている点です。
生命保険会社、損害保険会社、年金基金といった機関投資家は、顧客から預かった資金をできるだけ高利回りで運用しようと試みます。
配当、保険金、年金などの形で、顧客に運用益を還元するためです。
機関投資家の投資対象は、これまでは株式や債券が中心でしたが、最近では不動産へも資金が向けられるようになってきました。
株式や債券に投資するのと、不動産に投資するのとではどちらが有利かを判断し(広い意味で資産間の「裁定」を働かせるということです)、その時々で最も有利な資産に分散して投資するので1.そうなると、不動産と他の金融資産が同じ投資対象として並列で比較されるようになります。
つまり、金融市場と不動産市場の結びつきが強まることによって、株や債券といった金融資産の価格の動きが、不動産の価格動向にも間接的に影響してくることになります。
現在は不動産市場が大きく変革している時期です。
既成概念にとらわれることなく、これまで述べてきた留意点を踏まえて、今後の地価動向を見ていくことが必要です。
今、日本では物価が下落を続けるデフレーションが蔓延しています。
これからも、日本経済が円熟期を迎えることや少子化による人口減少が続くことなどを考えると、どんどん住宅が建てられるとか、オフィスビルを建てるための土地が不足して(要するに不動産に対する需要が急回復して)、地価が急激に高騰することは考えにくいかもしれません。
もちろん、景気がよくなって地価が徐々に上向きに転じることは、あり得ることとは思います。
しかし、地価は実際の需要と供給の関係のみで決まるものではありません。
日本に限らず世界的に見ても、不動産はひと儲けを狙うための投機対象として利用されてきたことがあるのも事実です。
その意味では、不動産投機による地価高騰が、将来にわたって日本で起きないかといえば、そう断言することはできません。
思えば今からおよそ30年前に、田中内閣の列島改造論によって大規模な土地投機が生じ、地方の山林・田畑にまでおよぶ異常な地価高騰が起きました。
その後地価が暴落して、多くの人々が損失を被りました。
そのときは、誰もが「もう、このような常識はずれの土地投機はやめよう」「このような地価高騰は、もう起きないだろう」と思ったのです。
ところが実際には、そうはなりませんでした。
そのおよそ15年後に平成バブルが発生しました。
本文で説明した通り、政府の金融緩和によって金余り現象が社会全体に広まるなか、余ったお金が不動産や株式に向かうことになり、これが不動産や株式の価値を大きく引き上げたのです。
バブルの真っ最中には、 「地価が高騰するのは、日本の経済金融面の実力を反映したものだ」、「東京一極集中がまだまだ進むので、都心部の不動産需要は底堅い」、 「日本は国士が狭く土地供給に限界があるので、地価が高くなって当然だ」、 「不動産に執着するのは農耕民族である日本人の特性である」などと、地価高騰を理由づける議論が真面目に展開されました。
今にして振り返ると少しおかしい部分があるようにも思いますが、少なくともバブル発生の15年前に起きた、列島改造の反動による地価暴落の経験が、すっかり忘れ去られていたことは事実でした。
米国の著名な経済学者(元ハーバード大学教授)であるジョン・ K ・ガルブレイスはその著書「バブルの物語」の中で、これらの投機的現象の究極的な原因は、投資家の集団的な「陶酔的熱病(ユーフォリア) 」にあると指摘しています。
そして、ある投機対象物に対して「陶酔的熱病が生じると、人々は、価値と富が増えるすばらしさに見ほれ、自分もその流れに加わろうと躍起になり、それが価格をさらに押し上げ、そしてついには破局が来て、暗く悲しい結末となる」と総括しています。
つまり、こうした投機的現象が繰り返し生じるのは、実は市場自体に投機を引き起こす過ちの種が組み込まれているためであって、人々が「陶酔的熱病」に陥るのは避けがたい現象であると分析しています。
かつて1630年代のオランダで「チューリップバブル」が起き、チューリップの球根1個で馬車1頭が買えるくらいにまで球根の価格が高騰しましたが、これなどはまさに熱病以外の何物でもないといえるでしょう。

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